第51回 学習アドバイス「過去問・赤本の利用の仕方(14)総合編(7)」
■苦手科目について(2)
■弱点科目・弱点分野こそ伸びるポイント
80点の科目でさらにあと+10点することよりも、50点の科目であと+10点することの方が、普通は簡単で確実性も高いはずです。
そこを「好き嫌い」「苦手意識」で目をそらしていませんか?
一般に「受験生の夏明け(9月)~」は、苦手科目をこそケアすべきです。
逆に、「直前期(冬)」になってしまうと、残された時間もわずかであるので、苦手科目をケアする時間もないですし、効果も見込めません。
また、志望校合格のための戦略をもって学習を進めている受験生であれば、「対策を講じることによって克服できる弱点」は冬までに克服を終えているべきです。
すると、当然ながら冬、直前期には「苦手科目の克服」よりも、「得意科目を伸ばす」ことに時間を割くべきです(+直前で対策が効くもの)。
最後に受験の合否を決するのは入試科目の「総合点」となります。
英語150点、国語100点、地歴・公民100点の合計350点の大学であるならば、その350点満点で合否が決まるわけで、その350点満点をベースに1点でも高める努力をしているのです。
もちろん、最終的には一人一人の学力の状況と志望校の入試問題のレベルと傾向との相性によっても異なるので、最終的な対策のポイントは一概にはいえません。
例えば「配点25点の古文は半分しか得点が見込めないので古文で-12点。配点100点の日本史は6~7割の得点率なので、そこで-40~-30点。古文はあとは3~5点伸ばせるかどうかだが、日本史はまだまだアベレージで10点、20点と伸ばせるので今後の学習はそこを重点的に行おう」という大学もあれば、また違ったポイントが課題となる大学もあることでしょう。
つまり、一番大事なのは、そのような「戦略を持った学習が行えているかどうか」、その土台である「志望校の入試問題の研究ができているかどうか」「自分の学習課題をしっかりと把握できているかどうか」ということです。
■まずは「点数」よりも、「合格への手ごたえ」を感じたい
入試の過去問の研究を始めるようになって、最初に意識したいのが、「合格への手ごたえ」です。
世界史の過去問を1年分やってみた。
点数的には3~4割ぐらいしか取れなかった。
でも、正解できなかった6~7割についても、授業でやったことばかりだったので、復習&定着をやれば7~8割は取れそうだ。
入試まであと5か月あるんだから…これはいけそうだ!
というような感じです。
実際の点数よりも、今後の「手ごたえ」の方が最初は大事です。
4割しか取れなくても、7~8割の手ごたえがあるのであれば、まずは十分ですし、皆さんのモチベーションもきっと上がるはずです。
しかし、5割の得点が取れても、6~7割を今後取れるようになる自信がまったくない、イメージもわかないし手ごたえももちろんない、という状態では心配ですし、なにより皆さんのモチベーションも上がらないでしょう。
この「合格への手ごたえ」と「モチベーション」、これらを感じるということだけでも、早期に過去問をやる大きな意義となるはずです。
(→第52回 学習アドバイス「過去問・赤本の利用の仕方(15)」に続く)